■難病対象者の一般企業での就労について
治療の進歩とこれまでの難病対策の成果により、病気の症状が安定し、日常生活や社会生活をほぼ問題なく送れる方も増えています。難病の症状を安定させながら仕事を続けていくためには、治療と仕事の両立が欠かせません。
また難病を抱える方々が治療と仕事を両立させるためには、以下が必要になります。
- 無理なく活躍できる仕事を選ぶこと
- できること・病気によってできないことの2面を理解し、どんな配慮があれば仕事ができるかを受容していること
- 通院や休息等の業務調整について職場の理解と配慮を得ること
- 自己管理と職場における自身の役割を確立すること
- 何でも気軽に相談できる支援機関がついていること
就労移行A-Runでは、上記1~5について直接的に支援します。
■支援(就労移行支援)機関を使うメリット
1.働くための準備(就労セルフケアの基礎訓練と就職活動)をサポート
- 施設内での職業疑似体験や企業での職場実習を通して、今の自分に必要な配慮や条件、できる仕事について知ることができる
- 就労時間(短時間労働・フルタイム労働など)
- 就労環境(立ち作業・座り作業・屋内作業・屋外作業)
- 休憩の取り方(60分毎に10分休憩・120分毎に15分休憩など)
- 身体的メンタル的疲労を感じた時の対処方法
2.働き始めてからをサポート
- 就職後も切れ目なく続く支援
- 就職した翌日からの職場定着支援
- ジョブコーチなどによる具体的できめ細やかなサポート
- 継続的な医療連携
3.就労移行の支援機関がつくことで、企業担当者に『安心』を提供
- 企業側に対する支援
- 企業担当者は、難病などについての知識がありません。仕事の切り出しや関わり方について知識が乏しいことが多くあります。就労移行支援事業所が支援機関としてついていると、就職活動や長く働き続けるための有効な武器になります。
- 関係各機関(医療・労働・福祉)との連携をコーディネートし、必要に応じた支援機関と連携しながら、一貫したサポートを提供
■訓練提供場所の配慮
通所して基礎訓練を受けることが基本ではありますが、難病等による身体的状況により、自力での通所が困難な場合は、居住地の行政機関と協議を行い、在宅での訓練支援が可能になることがあります。
ただし、以下の条件を満たしている場合に限ります。
- 在宅訓練支援を利用する本人が、希望していること
- 将来、在宅ワークを希望していること
- 居住場所にPCがあり、インターネット環境が整えられること
- 在宅訓練支援では主に、PCを使い、インターネット環境において、ZOOMに 接続をしていただきます
- 実践的なテレワークの提供や通所者のカリキュラムを中継しながら行うことを予定しています
- ZOOMを使い、職員や通所者とのコミュニケーション訓練を提供します
4.1か月に1回以上、自力または家族等の支援を受けて通所が可能であること
5.1か月に1回以上、就労移行A-Run職員の居住場所への訪問支援が受けられる環境であること
■難病利用者の感想・体験談
【利用者Aさんの場合】
A-Runを利用する以前のことを教えてください
私は持病(指定難病:多発性嚢胞腎)の悪化により、主に屋外で行なっていた前職を辞職することになりました。それに伴い今後、持病とどう向き合うのかを考えざるを得なくなりました。そんな折、自分の身体に合った職業に就くためにハローワークへ通い、就職活動を始めたのです。
病気が悪化してからの就職活動はいかがでしたか?
1人で始めた就職活動において、発病前は選択肢が広かったが、今は明らかに選択肢が狭いと感じました。求人票を見て「給料はこのくらいは欲しいな」と仕事内容を確認すると、「今の自分ではキツイよな」と感じました。また、どんな仕事を探せばよいのか?という迷いもありました。
A-Runに来ることになったきっかけを教えてください
そんな折、ハローワークの担当職員から、どんな仕事ができるのかを知り、サポートをしてもらったほうが良いというアドバイスを受けました。そこで、担当してくれたハローワーク職員と一緒に、勧められるまま就労移行A-Runに行ってみました。
「こちらで、どのような支援が受けられるのか?」などを聞き、体験利用から始め、本利用してみようと思いました。
A-Runを利用してみよう!と思ったのはどんな理由からですか?
私がこのとき思った(本利用を決めた)本当の理由は、自分一人で就職活動を行うとして、どうやれば自分の病気のことを企業が理解してくれるのか。配慮してもらいたいことを企業に直接話したとき、雇ってもらえるのか?という不安なことがたくさんあったからです。ひとりで思い悩むより、協力してもらおうと思いました。
実際に利用してみて、どう感じましたか?
実際に利用して感じたことは、病気や障害のことに長く携わってきた職員の方と話す機会は貴重な体験となり、また、知らない自分自身を振り返ることにもつながっているので、今後まだ続く人生の中で、決して無駄のない経験だと思っています。